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そして、今からでかけてきます。おおうおう、いたりいなかったりかたよっててごめんなさい・・・!
20日のパラレルSSの続き(?)置いてきます。アレの後に読んでね。でないとサッパリ。
ではです。
使用されるクリームは、カスタードクリームの他、ホイップクリーム、マスカルポーネチーズ入りのクリームなど、多岐にわたる。
他に、タルト生地にスポンジやチーズを盛りつけたものもある。(チーズタルト、アーモンドタルト等)
Pâtisserie Le diable 〜夏〜
場所柄、
取り扱っている物も物であり、男性の一人客は珍しい。
まして、
プレゼント用のケーキや洋菓子を持ち帰るのではなく、
煙草も吸わずに一人で喫茶で来る男性客は、半年に3人いるかいないかだ。
Pâtisserie Le diableの店主は、水を運んだついでに、奥に通した青年の様子を見た。
特に、洋菓子好きにも見えない。
待ち合わせ風でもないし、時間つぶしでもなさそうだ。
ただ、純粋に一人で食事をしにきたわけでも無さそうだった。
先ほどから、こちらを目で追っている。
かといって、視線をそちらに向けると、急いで逸らし、
取ってつけたように、気まずそうに窓の外に視線を泳がせたりしている。
バレバレな上、
良い気分でもない。
純粋な客でも無い以上・・・。
その変わった客にメニューを運ぶ際、
彼は、テーブルにメニューをタンっと立てるように置き、自分と相手の表情を他の客から隠すようにすると、
青年を睨みながら丁寧に尋ねた。
「どういったご用件で?」
「ア・・・」
青年は、「バレた!」と、気まずそうな顔をして固まる。
「えっと・・・あの。パティシエさん・・・」
「はい」
丁寧な口調だが、言い換えれば口調だけである。
かなりの悪態をつきつつ眼光も鋭い。
見た所気弱そうな青年は、完全に萎縮してしまっている。
「あ、すいません・・・今日は、その、姉の事でご相談に・・・」
「姉?」
「姉崎まもり、っていうんですけど・・・」
「・・・」
・・・ああ、と、
半年前からここに通い続けるストーカーまがいの常連客が頭に浮かぶ。
「何だ、アレの弟か。じゃあ毒盛ってもいいな」
「あ、できればそれはしないでくれると・・・」
「とりあえず他の客が帰るまで何か頼んで待ってやがれ」
あの女。
今日は煩ぇのが来ねーから静かだと思ったら、今度は弟か。何なんだ。
入り口の札を準備中にしておいた為、
その後客は入らず、30分かからないうちに、客は青年だけになった。
店主が青年の席に改めてやってくると、
青年は肩を強ばらせながら恐る恐る、彼に話しだす。
「突然すいません。・・・あ。僕、セナっていいます。姉から、このお店と貴方の事は何度か聞いてて・・・」
「ハイ」
「あの女の口からの紹介つうことは、ろくなモンじゃねえだろうな」と、彼は猫かぶる必要も無いと、
向いの椅子に、テーブルに足を放り出して座った。
青年は、姉の話から、ある程度この男のことは想像できていたのか、
その動作には驚かず、ただひたすら始終おびえている。
「で?人の営業妨害してまで、話してぇ事っつうのは」
「あの。お願いがありまして、その・・・」
「アァ?」
「姉が、最近、変なんですよ」
「安心しろ、元からだ」
「あ、いえ、あの・・・」
「あれは、元来からだ。後々どうにか後付けできる性格でも、改善できるモンでも無ぇ。あきらめやがれ。嫌なら別居しろ」
「そういう意味じゃなくて・・・あ、あと、姉は今一人暮らしなんで・・・」
「そうか良かったなァ。正反対の人生を歩め」
「姉は、好かれるんですよ結構」
「ハア?」
「校内外に関わらず、多いんです。その、おつきあいしたいって言ってくる人が」
「・・・世も末だ」
「で、テメエは身内の自慢話をしにきたのか」
「いえ!・・・でも、姉は、一度も首を縦にふったことが無いんですよ」
「そりゃ、趣味に合わねーだけだろ」
「いえ、その・・・」
「・・・いっつも、どこかに出かけてしまうんです。『大事な用』があるって。だから誰かとおつきあいしている余裕は無いわ、って」
「・・・」
「で、どこで何をしているのか訪ねてみたんです。そうしたら、このお店に通っていることが分かって・・・」
「・・・ちょーっと、待ちやがれ」
後に続く言葉の予想がついて、ヒル魔はイライラと青年の言葉を止めた。
「まさかと思うが。いや、きっと、そのまさかで、テメエに大きな勘違いがあるんであろうから言っておく。俺は、あの女とは何も無く、あの女も、ここに通う目的は俺じゃねぇ。目的は、コレだ。血のつながった人間なら分かるだろう。コレのみだ」
テーブルの上の、先程青年が注文したケーキを指差す。
「文句言うならあの女に対してで、次にこの甘臭ぇ物体に対してで、最後には姉の奇行にいちいち首を突っ込みやがる自分自身に対してだ。わかったか。ちなみに、良い機会だから、言っておく。テメエの姉には日頃つきまとわれて大変迷惑をしております。心底!迷惑だ」
「・・・すいません」
眼光に圧倒されて、とりあえず謝ってしまうセナと名乗る青年。
「けど・・・」
「アァ?!」
「・・・あ。いえ、あの・・・すいません、」
「・・・姉から、『ひどい人だ』と聞いていたので、もし遊びとかよくないことで姉をたぶらかしている人だったら、注意しようと思っていたんですが・・・」
「そりゃあ酷ぇ誤解だな」
「ええ、はい・・・けど、」
「・・・どうなんでしょう。あの、姉に何も興味は無いと分かった上で尋ねたいんですが、もし、姉のことを好きな男性がいたとして、その人がもし、貴方に勝負を挑んできたら。」
「・・・」
「そうしたら、貴方はどうしますか」
「・・・そもそも、あの女が関係しようがしまいが、」
「・・・俺に勝てる人間なんざこの世にいねぇし、」
「・・・いい加減、五月蝿ぇ事ばっかぬかしてると追い出すぞテメエ等はっ!?」
唐突にスイッチが入ったのか、キレて椅子を蹴り倒し青年に怒鳴りかかるパティシエ。
「あわわ・・・」
「つうかテメエもあの女も営業妨害だ!とっとと帰れ!」
「あ、でも、まだ食べかけで・・・」
「持って帰りゃあいいだろうがっ!包むから金持ってレジに行ってろ!」
「あ、あと、姉にも土産に、同じのをホールで・・・」
「売ってたまっか!」
「え・・・あの、客なんですけど一応・・・」
「本当にテメエがあの女の弟だっつうなら、話は別だがなぁ、」
「・・・」
「もしくは、テメエが猿真似してる『セナ』つう男本人なら話も別だ」
「・・・あ」
「人に勝負だの何だの喧嘩ふっかけてきた以上、俺の作ったモンを道具にすんじゃねーよ!」
「バレてた」と、青年は顔色を変える。
レジに札を放ると、慌てて店から逃げ出していった。
「・・・」
ツマンネーことに、実に貴重な時間を奪われた。
ため息をついてから、
倒れてる椅子に更に蹴りを入れ、入り口のドアの方へ向かう。
札をひっくり返して、営業再開にしなくては。
今日もきっと来るであろう女を、今日はあの倒れた椅子の席に案内しよう。
営業時間を削られたあてつけだ。
ドアを開けて手を伸ばすと、
道の先の方からもう声がする。
「あ!やっと開いた!」
「そろそろ夏のタルトの時期よね?桃かしら?それとも柑橘系?ひょっとして今日からスタートしてる?!」
息をはずませ、今日の恋人の装いを尋ねながら近づいてくる声。
パティシエは「いらっしゃいませ」の声と共に、
この店の味にお熱のこの女の顔面に、タルトをホールごと投げつけてやりたい気分になった。
★★★
「猿真似」とか、この無謀さからいって、多分モン太。
